労務トラブルを解決する

顧問弁護士.JP

よくある質問

参考資料:契約関連のご相談

3.契約トラブルになったら

契約が履行されない場合

  1. 内容証明郵便を用いて請求する
    内容証明郵便は,文書の内容と送達日付が公的に証明できるようになるので,当方の主張を相手方に伝達するのに最適な方法です。相手方に何らかの回答をさせるようにプレッシャーをかける事が可能です。判例や証拠文書を添付したいときは,書留郵便も利用します。
  2. 支払督促を申し立てる
    支払督促とは,通常の裁判手続をしなくても裁判所から債務者に対して金銭支払などを命じる督促状(支払督促)を送ってもらえる制度です。申立ては金銭債権の額にかかわらず、簡易裁判所で行います。裁判所書記官から支払督促状が送られてくれば,通常,債務者は動揺するので,内容証明郵便を送っても動じなかった債務者に対して多大な心理的プレッシャーを与えることができ,支払いに応じさせる可能性を高めることができます。また,債務者がこの督促状を放置して2週間が経過すれば,債権者は債務者の財産に強制執行することも可能になります。他方,債務者が争えば通常訴訟に移行します。
  3. 少額訴訟を申し立てる
    債務者の金銭支払債務が60万円以下である場合には,簡易な手続で裁判が出来る少額訴訟制度を利用することもできます。これは簡易裁判所に対して申し立てる簡易な手続で,原則として1日で結審し,訴訟費用もそれほどかかりません。
  4. 通常訴訟を申し立てる
    債務者の債務が60万円より上の場合は,通常訴訟で債務者に請求することになります。通常訴訟となりますと,弁護士に委任するのでなければ難しい場合が多いです。通常訴訟で勝訴し,判決が出たらその判決をもとに相手方と交渉する方法もありますし,相手方がそれでも債務を履行しないのであれば,強制執行することになります。
  5. 強制執行する
    通常訴訟における認容判決(勝訴判決)をもとに,次のような強制執行をすることができます。
    • ア 金銭執行
      相手方が,金銭を支払う債務を履行しない場合に,相手方が所有する不動産を競売にかけたり(不動産強制競売),動産を競り売りにかけたり(動産執行),相手方の第三者に対する債権を相手方の代わりに行使することにより,第三者からあなたが支払を受けたりする場合(債権執行)を言います。
    • イ 非金銭執行
      相手方が,金銭支払債務以外の作為債務(物の引き渡し債務など)や不作為債務(一定の場所に立ち入らない債務など)を負っているが,これを履行しない場合に,執行官により強制的に物の引き渡しを履行させたり(直接強制),第三者に代わりに債務を履行させその費用を相手方に負担させたり(代替執行),相手方が債務を履行するまで一定の期間ごとに金銭の支払いを強制することにより,間接的に債務の履行をさせたりする場合(間接強制)があります。
    • ※ 執行証書を用いる
      強制執行を行うためには,「債務名義」が必要となります。債務名義として代表的なものは,確定判決ですが,この確定判決を得るためには,裁判を提起して長い時間と手間をかけて認容判決を勝ち取らなければなりません。しかし,契約を締結する時点で,あらかじめ当事者間で公正証書を作成し,その公正証書の中で債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述を記載していれば,確定判決を得なくても直ちに強制執行手続を行うことが可能です。もっとも,このような公正証書(執行受諾文言付きの公正証書)は,一定の金銭の支払い又はその他代替物もしくは有価証券の一定の数量の給付を目的とする契約についてのみ認められますので,特定の物の引き渡しを債務内容とする場合は,認められないことに注意が必要です。
  6. 契約を解除する
    相手方が債務を履行しなくとも,契約を解除しない限り,当方は相手方に対し,債務を負い続けます。例えば,売買契約において売主が目的物を引き渡さない場合でも,買主は売主に対し代金を支払う債務を負い続けます。そこで,買主が自己の債務の履行を免れるために,契約を解除する手段をとることが考えられます。なお,解除するためには相手方に帰責事由(債務を履行しないことについて故意・過失があること)が必要であり,また,履行が可能であるが履行期を経過している場合(履行遅滞の場合)は,原則として相手方に履行を催告し,にもかかわらず相手方が催告期間内に履行しない場合に,解除が可能となります。この解除の意思表示は,裁判とは無関係に内容証明郵便で行うこともできますし,裁判上で行うこともできます。
  7. 相手方に損害賠償を請求する
    相手方が債務を履行しない場合に,当方が損害を被る場合があります。例えば,売主から目的物を仕入れてそれを第三者に転売することを目的として,既に第三者との間で売買契約を締結していたが,売主が目的物を引き渡さないために転売する計画が頓挫し,当方が損害を被る場合があります。この場合,売主に対し損害賠償を請求することができます。先の例で言うと,転売により得られるはずだった利益(転売価格マイナス仕入れ価格)を損害賠償請求することができる場合があります。この損害賠償は解除と共にすることができるため,契約を解除しつつ,損害賠償を請求することもできます。なお,契約の解除と同じく,損害賠償の場合も相手方に帰責事由があることが原則として必要です。

契約不履行で訴えられたら

  1. はじめに
    あなたが債務不履行をしていないにもかかわらず(既に履行済みである,あるいは履行期がまだ到来していない),相手方から債務不履行で訴えられた場合,その訴訟に対応しなければなりません。実際には債務不履行していなくとも,裁判でその旨を主張していなければ,あなたは相手方の主張を認めたものとして扱われ(擬制自白),あなたが上で記載したような強制執行をかけられる恐れが出てくるからです。それでは,具体的にどのように対応すべきでしょうか。
  2. 答弁書を提出する
    まずは,相手方の主張を争うという主張をしなければなりません。これをしない限り,上記のように自白したものと見なされてしまうからです。そこで,相手方(原告)の請求を棄却する旨の裁判を求める,と言う内容の答弁書を裁判所に提出しましょう。当方の主張の内容は,後から追って主張することにしてもよいのですが,まずは争う姿勢を明示することが必要です。
  3. 弁護士に相談する
    答弁書を提出した後は,当方の主張を証拠と共に裁判所及び相手方に提出して,本格的に争っていくことになるのですが,そこから先は専門家である弁護士に事件処理を委任するのがよいでしょう。相手方からの訴状を受け取った時点で,弁護士に委任するのもよいかもしれません。その場合は答弁書は弁護士が提出することになります。裁判は高度な専門性が要求されるのみならず,多大な手間と準備のための時間を要するものです。あなたが個人として訴えられた場合でも,会社として訴えられた場合でも,裁判のために割く時間・労力,そして何より不当な敗訴判決を避けるためにも,弁護士に事件処理を委任するべきです。
  4. 和解する
    もしあなたが何らかの事情があって,事実として債務不履行をしていた場合は,相手方と交渉し,債務内容を変更してもらったり,弁済期を遅らせてもらったりする方針も考えられます。相手方が和解に応じれば訴訟も取り下げになる可能性があります。相手方との交渉・和解について,弁護士を委任するという手段をとることを検討すべきでしょう。

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