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育児介護休業改正への対応

2021年12月06日

 2021年7月号の労務ニュースでお伝えしましたが、育児介護休業法が改正され、2021年6月9日に公布されました。その後、9月30日には改正法に対した、育児介護休業法施行規則及び育児介護休業法指針が交付され、改正の詳細が決定され、企業が改正法で対応すべき内容が明らかになってきました。そこで、改正内容のうち、直近の2022年4月1日から施行される内容(下記表の①~④)を中心に、企業が改正法対応として行うべき内容をお知らせします。

◆主な変更点は以下の通りとなります。

改正内容 施行時期
労働者自身又は配偶者の妊娠出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け 2022年4月1日
育児休業を取得しやすい雇用環境整備の義務付け
有期雇用労働者の育児休業・介護休業取得要件の緩和
育児休業の申出方法等の見直し
育児休業の分割取得 2022年10月1日
1歳以降の育児休業の開始日の柔軟化
出生時育児休業の創設
1000人超の企業に育児休業の取得状況の公表の義務付け 2023年4月1日
  1. 個別周知・意向確認の措置

     労働者又は配偶者が妊娠又は出産した旨等の申出をしたときに、当該労働者に対し、育児休業制度等を周知すると共に、これらの制度の取得意向を確認するための措置を講じることが企業の規模を問わず全事業主に義務付けられます。

    ⑴個別周知・意向確認の方法
    原則:面談による方法または書面を交付する方法
    例外:労働者が希望した場合には、FAXを利用して送信する方法または電子メール等の送信の方法(電子メール等の記録を出力するなどして書面を作成できるものに限る。)も許されます。
    ⑵個別周知の内容
    個別周知する内容は以下の4点です。
    ① 育児休業に関する制度
    ② 育児休業申出の申出先
    ③ 雇用保険の育児休業給付に関すること
    ④ 労働者が育児休業期間について負担すべき社会保険料の取扱い
    ⑶実務対応
    労働者に対して育児休業等の制度を正確にもれなく伝えるためには、書面を交付する方法以外を選択する場合であっても、周知用の文書を作成することが望ましいです。FAXやメールを送信する方法では作成した周知用の文書を送信すればよいですし、面談による方法では、面談者が作成した周知用の文書を読み上げることにより正確にもれなく伝えることが可能となります。
  2. 育児休業を取得しやすい雇用環境整備の措置
     事業主は、育児休業を取得しやすい職場環境を整備し、育児休業の申出が円滑に行われるようにするため、以下のいずれかの措置を講じることが義務付けられました。そのため、2022年4月1日以降、①~④のうちいずれかの措置をスムーズに実施できるように、実施する措置を決定した上で、準備を進めておくことが必要です。
    ① 育児休業にかかる研修の実施
    ② 育児休業に関する相談体制の整備(相談窓口の設置)
    ③ 雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集及び当該事例の提供
    ④ 雇用する労働者に対する育児休業の制度及び育児休業取得促進に関する方針の周知
  3. 有期雇用労働者の育児休業・介護休業取得要件の緩和
     有期雇用労働者の育児休業・介護休業取得要件の緩和(1年継続勤務要件が撤廃)されることにより、就業規則等の規定を2022年4月1日までに見直す必要があります。
  4. 育児休業の申出方法等の見直し
     労働者からの育児休業の申出や事業主からの育児休業に関する通知の方法として電子メール等による場合、SNS等(LINEやFacebookメッセンジャーなど)によることも認められるようになりました。同様に、介護休業の申出や所定労働時間の短縮措置の申出にも適用されます。この改正を機に育児休業の申出方法等を見直す場合には、2022年4月1日までに就業規則等の規定も一緒に見直す必要があります。

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