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フリーランス新法案
2023年03月03日
政府は、2023年2月24日「特定受託事業者に係る取引適正化等に関する法律案」(いわゆる「フリーランス新法案」)を閣議決定し、今国会(第211回通常国会)に法案を提出する見通しとなりました。法案が今国会で成立した場合、2024年秋ころまでには施行される見込みであり、フリーランスと取引を行っている事業者は、新たな規制を受けることになります。
◆フリーランス新法案の概要
フリーランス新法案では、①取引の適正化と②就業環境の整備という2つの観点から種々の規制が設けられています。
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適用対象
(1)フリーランス
フリーランス新法案では、適用対象となるフリーランス(法案では「特定受託事業者」と呼称)は、次のいずれかに該当するものと定義されています。 (2)委託者
フリーランス新法案では、フリーランスに業務を委託する委託者(法案では「特定業務委託事業者」と呼称)は、次のいずれかに該当するものと定義されています。①個人であって、従業員を使用するもの(3)対象業務
②法人であって、役員が代表者2人以上である、または、従業員を使用するもの
フリーランス新法案では、適用対象となる業務は、次のいずれかに該当するものと定義されています。①物の製造(加工を含む)または情報成果物の作成を委託すること
②役務の提供を委託すること -
取引の適正化の概要
これらの規制は、下請法とほぼ同じ内容であり、下請法の適用対象の拡張という意味合いがあります。
①給付(委託する業務)の内容、報酬の額等を書面又は電磁的方法により明示すること
②給付を受領した(役務の提供を受けた)日から60日以内の報酬支払期日を設定し、支払いを行うこと
③以下のア~オに該当する行為の禁止
ア フリーランスの責めに帰すべき事由なく受領拒否すること
イ フリーランスの責めに帰すべき事由なく報酬を減額すること
ウ フリーランスの責めに帰すべき事由なく給付受領後に返品を行うこと
エ 通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること
オ 正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること
④以下の行為によって、フリーランスの利益を不当に害してはならないこと
ア 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
イ フリーランスの責めに帰すべき事由なく内容を変更、または給付を受領した(役務の提供を受けた)後にやり直しさせること -
就業環境の整備の概要
フリーランスの事業者と労働者の中間的な性格に鑑みて、一部労働者類似の保護等を及ぼすこととしています。
①広告等により募集に関する情報を提供するときは、虚偽表示・誤解を生じさせる表示をしてはならず、また、正確かつ最新の内容を保つこと
②業務委託が政令で定める期間以上の期間を行うもの(以下「継続的業務委託」といいます。)である場合、フリーランスからの申し出に応じて、妊娠・出産・育児・介護と両立しつつ業務に従事できるよう、必要な配慮をすること
③フリーランスに対するハラスメント(セクハラ・パワハラ・マタハラ)行為に関する相談対応等必要な体制整備等の措置を講じること、及びフリーランスが相談を行ったことなどを理由とする不利益取り扱いが禁止されること
④継続的業務委託を契約解除または契約期間満了により更新しない場合には、原則として、30日前までにフリーランスに対して予告しなければならないこと(フリーランスが予告期間中に解除等の理由の開示を請求した場合、原則として、遅滞なく開示することも求められます) -
違反した場合の罰則等
①公正取引委員会、中小企業庁長官又は厚生労働大臣は、特定業務委託事業者等に対して、違反行為について助言、指導、報告徴収・立入検査、勧告、公表、命令をすることができます
②命令違反、報告拒否、虚偽報告、検査拒否等に対しては、50万円以下の罰金が科されます。なお、行為者だけでなく法人や個人事業主(特定業務委託事業者に該当する者)にも同様の刑が科される両罰規定があります。
②法人であって、役員が代表者1人であり、かつ、従業員を使用しないもの