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長時間労働環境改善の必要性について
2021年10月20日
●長時間労働環境改善の必要性近年、長時間労働に伴う精神疾患の発症や、これに伴い自殺に至るケースが増えています。長時間労働には、以下のようなリスクがありますので、改善が急務です。
- 労災認定されるリスク
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損害賠償請求義務が生じるリスク
長時間労働により労災認定されると、同時に会社が損害賠償義務を負うケースが多いといえます。この場合、従業員には労災給付が行われますが、それとは別に会社が金銭を支払わなければならなくなります。
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未払残業代を請求されるリスク
長時間労働に伴い、会社が認識していない未払賃金が生じてしまうリスクも高まります。この点、労働基準法が改正され、2020年4月1日より賃金請求権の時効が2年から3年に変更となりました。これに伴い、今後は更に未払賃金が増加する可能性があります。
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罰則を受けるリスク
2019年4月1日(中小企業は2020年4月1日)から、時間外労働は原則月45時間、年360時間まで等の上限規制が設けられました。これに違反した場合は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金に科せられる可能性があります。
以上のように、長時間労働には様々なリスクが存在します。長時間労働が疑われる従業員がいる場合、早急に改善に取り組みましょう。例えば、以下の方法が考えられます。
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日頃から労働時間の管理を徹底する
日常的な労働時間管理は、長時間労働の防止・発見、是正に役立ちます。管理方法については、厚生労働省のガイドライン(※)に従うことが考えられます。
※①使用者の現認②タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録により確認することが原則とされています。 -
ノー残業デーの活用
定期的にノー残業デーを設け、所定終業時刻での退社を習慣付けることも効果的です。
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人事評価で労働時間に関連する項目を設ける
労働時間に関する点を人事評価に反映させることで、間接的に残業を抑制することにつながる可能性があります。
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残業を許可制とする運用を徹底する
残業を事前許可制とし、会社の許可なく残業することを認めない方法をとることも効果的です(運用は徹底する必要があります)。
なお、せっかく長時間労働改善のための取り組みを実施したとしても、実際の業務量が変わらないと、効果は限定的となってしまう可能性があります。同時に、業務量の抑制、引継ぎ体制の整備等、労働環境の改善についても同時に取り組むことを是非検討してください。
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1 精神障害の労災認定(厚生労働省 令和2年9月改定)
※ここでの時間外労働とは、週40時間を超える労働時間を意味します。
※上記以外にも基準はございます。詳細についてはご相談ください。