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歳を重ねる楽しみ

2018年03月16日

 最近書店で、「もう一度読む 山川倫理」という本を見つけました。高校の倫理の教科書を社会人向けに出版したものです。ページをめくると古今東西の思想が歴史的な流れに沿ってコンパクトに本質を押さえて書かれています。たとえば、日本人の大切にする和の精神について、聖徳太子の17条憲法にある「和らぎを以て貴しと為し」を持ち出して次のように解説しています。「和の精神というのは、ただ周囲に同調せよという意味ではない。和音という言葉が、さまざまな音が調和して生まれる豊かな響きをさすように、みんなが集まってさまざまな意見を述べあう中から、物事の正しい道理を見出そうとすることである。」私は、驚き感動しました。聖徳太子がこのような民主的な考えをもっていたのかと。和の精神とはこのような意味だったのかと。
 しかし、私は、高校時代にもこの本を読んだはずなのですが、このような驚きや感動をした記憶が全くないのです。当時は、倫理社会をよくわからない難しいことが書かれていて興味のわかない科目と思っていました。同じ人間が、同じものを見ても年齢によって感じ方がかなり違うということを実感しました。歳を重ねることが楽しみになりました。ちなみに、倫理とは、私たちが他者とともに、人間らしく生きるための道筋を示すものだそうです。

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