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残業許可制と労働時間の認定

東京地裁判決平成25年5月22日
従業員に対し事業所内に入退場する際にタイムカードを打刻させていましたが,時間外労働については,所属長が毎日個別具体的に時間外労働命令書によって時間外労働を命じ,実際に行われた時間外勤務については時間外勤務が終わった後に本人が実労働時間として記載し,翌日それを所属長が確認することによって労働時間が把握されていたとして,タイムカードの打刻時間に基づく労働者の残業代請求を認めなかった裁判例。

ポイント
タイムカードがある場合,タイムカードによって労働時間の管理が行われていたと推認して,原則タイムカードの打刻時間に基づいて労働時間を認定するというのが裁判実務ですが,上記の裁判例では,残業許可制を上記のように厳格に運用していたため,タイムカードではなく,労働者本人が申告し所属長が確認した時間が労働時間であるとの認定がなされています。

労務管理への活用
従業員が業務の必要が無いにも関わらずダラダラと居残っている場合に,残業許可制を採用することで,残業代の縮減や従業員の作業効率の向上が期待できます。
ただし,残業許可制を就業規則等に定めた場合であっても,従業員が業務命令や申請なく残業を行っている場合に黙認をしていたり,業務上の必要が認められるのに残業を許可しないなど,不適切な運用をしてしまうと残業許可制は口実に過ぎないとして,タイムカードによって労働時間が認定されてしまいます。
したがって,残業許可制を採用する場合には,厳格な運用が必要となります。

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