労務トラブルを解決する

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よくある質問

参考資料:労務関連のご相談

3.労働組合対策
  1. 団体交渉を申し入れられたら
    労働組合は,団体交渉申入書を使用者に送付ないし持参して団体交渉を申し入れるのが通常です。企業別組合(特定の企業または事業所に働く労働者を職種の別なく組織した労働組合)と異なり地域一般労組(一定地域の労働者が企業の枠を超えて組織する組合・合同労組ともいう)からの団体交渉の申し入れの場合は,暫定労働協約の締結を申し入れられることもあります。しかし,労働組合と聞いただけでびっくりしてどう対応していいのかわからない,申し入れの書面の内容がよく理解できない,労働組合と交渉をしてきたが専門知識がないので上手に交渉できないという場合があります。このような場合は,KAI法律事務所に是非ご相談下さい。団体交渉もお引き受けいたします。
  2. 退職した社員が社外の地域一般労組に加入して団体交渉を申し入れられた場合の注意点
    たとえば,解雇された者(被解雇者)の属する組合が解雇撤回や退職条件に関する団体交渉を申し入れた場合,解雇を行った企業は団体交渉に応じなければならないのが原則です。これは被解雇者が,解雇後に組合に加入した場合でも変わりありません。
    • ① まず,団交申入書の記載から団体交渉の当事者(労働組合)を確認し,それが地域一般労組の場合にはインターネットなどで資料を集めどうのような活動をしている組合か調べます。組合によっては,団交会場でビデオカメラを使用者側めがけて設置したり,多数の組合員を動員し使用者に圧力をかけるものもあるので組合についての調査は必要不可欠です。また交渉の担当者(交渉に実際にあたる人)についても同様に調べます。次に,団交申入書の記載から,組合が要求している団交事項を確認し必要な調査をします。
    • ② 団交申入書には,団交の日時場所が指定されていますが,それに従う必要はありません。企業において,団体交渉事項について合理的に検討する時間を見積もって,その後の日時場所を組合と交渉すべきです。場所は,組合の事務所や使用者側の事務所はできれば避けるべきです。そうしないと,交渉時間がエンドレスになる可能性があるからです。
    • ③ 団体交渉のルール(担当者・人数・日時場所)を決める必要がある場合や,交渉事項が団交申入書ではっきりしない場合は,予備折衝(団交準備会)をまず開くようにすべきです。特に,人数についてあいまいにしておくと,多数の交渉委員と称する応援団が団交場所におしかけ大変なことになることがあります。
    • ④ 団体交渉の申し入れに伴って,組合から暫定協定の締結をもとめられることもあります。これにも直ちに応じる必要はありません。暫定協定の内容には,不当労働行為を行わないとか,交渉申し入れ義務とかを使用者に負わせるものがあります。しかし,不当労働行為を行わないのは法令に定めれらた当然のことですし,組合員についての労働条件について常に組合に交渉を申し入れなければならないということも法令で定められたことを上回る義務を使用者に負わせるもので慎重に判断すべきだからです。
  3. 団体交渉には,社長など代表権のあるものの出席が必要なのでしょうか
    団体交渉では使用者側の交渉担当者を決めます。この場合,企業の代表権のある者以外の労務担当役員などが交渉担当者としては望ましいといえます。企業の代表権者が交渉担当なると,団交の席上で合理的に検討する余裕が与えられずに組合に回答をせざるを得なくなるからです。従って,団体交渉に社長など代表権のあるものの出席は必要ではありません。
  4. 工場や事務所の移転閉鎖などについては経営事項として団体交渉に応じなくともよいでしょうか
    使用者が団交を義務づけられている事項は,組合員である労働者の労働条件その他の待遇や団交の運営に関する事項で使用者が処分可能なのものに限られます。従って,工場や事務所の移転閉鎖が,組合員の職場変更などを伴う場合は団交が義務づけられますが,それ以外の場合は団交が義務づけられません。
  5. 団体交渉では妥協しなければいけないのでしょうか?
    使用者は,合意を求める組合の努力に対し,合意達成の可能性を模索する義務はありますが,組合の要求を入れたり,譲歩する義務まであるわけではありません。
  6. 地域一般組合の注意点
    地域一般組合は,企業別労働組合に組織されにくい労働者を一定地域で企業を超えて組織する場合が多いようです。労働組合の性格も様々ですが,企業別労働組合に比べ,当該企業との結びつきが薄いので要求や行動が過激になるものが比較的多いといえます。ですから,地域一般労組から団体交渉の申し入れを受けた場合は,団体交渉を使用者側で行った経験のある弁護士に相談したうえで対応することが必要だと思います。
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    • 問 合同労組の現状を教えてください。
      合同労組は日本全国にあり,柔軟路線をとる組合からイデオロギー性の強い労使対立路線の組合まで幅広くあります。労使対立路線の組合の中にも,落としどころを考える組合とあまり考えない組合があります。連合加盟であっても強硬な組合もあります。 組合の交渉担当者によっても,対経営側への対応が変わってくることがあります。
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    • 問 団交申入書が会社の代表者に届いてからの具体的な流れを教えてください。
    • ① 社長は動揺するのが普通です。担当部長に早く解決するように指示する可能性もあります。そうなると担当部長が,とにかく沈静化させようと準備もせずに組合と団体交渉をしたり,暫定労働協約締結に動く可能性もあります。社内の様々な人が社長に御注進をして,社内の結束が乱れる可能性もあります。労組に対抗するには,社内が一丸となって労働組合と交渉できる体制を作るのが大事です。担当部長が社長に「以前,このようなときは,使用者側の弁護士を探して相談しないとまずいという話を聞きました」「慌てて動くのが一番まずいとセミナーで聞いたことがあります」と話をして,使用者側の弁護士を探し,弁護士に社長に見通しを説明させるようにして社内を一本化することが必要になります。
    • ② 結成通知に,上部団体の交渉担当者の名前が記載される場合があります。その場合は,その者が上部団体の中心となって交渉にあたる場合が多いので,その担当者の情報をインターネットなどで収集してください。また、単位組合の役員の情報を収集してください(会社に対して親和的か反抗的か。なぜ役員に選ばれたか。全体をとりまとめる力があるのか。単位組合の実力者が役員に入っていないのではないか,役員の仲間で組合結成に参加していないものがいるのか,組合員全ての名前は分からないか)。
    • ③ 準備不十分のままで組合の指定する日に団体交渉をするようなことはしないようにしましょう。また,団体交渉の場所は,貸し会議室等を利用し,原則として会社の施設や組合事務所は避けるようにしましょう。暫定労働協約をむやみに締結しないようにしましょう。回答猶予の回答書の作成し送付するようにして準備をしましょう。
    • ④ 回答の時間的猶予を得たら,次に団交申入書に対する具体的な回答書を作成しましょう。どこまで書くのかをよく考える事が必要です。この場合,使用者の強みを書き,弱点は相手の指摘があってから書くという方法もあります。
    • ⑤ 団体交渉の方法については,文書の往復や電話などによる協議は,当事者の合意に基づくものでない限り,誠実交渉義務を尽くしたことになりません(東京地判平2.4.11判時1352号151頁)ので一定の段階に達した場合は,面談による団交に切り替えることになります。
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    • 問 面談による団体交渉の注意点を教えてください。
    • ① 労働組合の代表者または労働組合の委任を受けたものが組合の交渉担当者となるので(労組法6条)組合員全員を参加させる義務はありません。出席者や人数を制限するようにしましょう。
    • ② 使用者側については,代表者は出席しないようにしましょう。その場で回答せざるを得ないことになるからです。 妥結権限のあるものが出席しなければならないと言うことはありません。交渉のうえ,妥結については権限者と諮ることは当然あり得ることだからです。使用者側は,主として発言をする統括者と記録担当者の二人は最低出席する必要があります。その他,一般的な説明をする者(説明補助者)も参加した方がよいでしょう。組合員と直接労務問題で対応したものは,つるし上げを受ける可能性もありますから,参加に注意を要します。
    • ③ 誠実交渉義務があるので,組合の要求や主張に対しその具体性や追及の程度に応じたい回答や主張をなし,必要に応じた論拠や資料を提示する義務があります。ただ承っておくと聞いているだけでは足りません。従って想定問答を作成したり,提示する資料の準備する必要のある場合があります。
  7. 地域一般組合の注意点
    当事務所の奈良が、ビジネスガイド2010年6月号(日本法令)に対応策を記載しておりますので、後参照ください。

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